teacup. [ 掲示板 ] [ 掲示板作成 ] [ 有料掲示板 ] [ ブログ ]


新着順:12/2709 記事一覧表示 | 《前のページ | 次のページ》

一応、立地・建設・運転を勉強しましたが、結局のところは、

 投稿者:RYU  投稿日:2018年10月 9日(火)14時50分54秒
  通報
   このところ、福島第一原子力発電所事故の本をいまさらまとめて読んでいます。

 旧刊の書評は不要かと思いますので書きません。新刊の蓮池透氏のものは、一部、話が流れたり、生煮えであったりするところもありますが、人を含めて現場をよく知っている方ならではのよい内容でした。お勧めできます。

 様々な本を読んで、えー、うむー、と強く思うことがありました。
 それは、<東電>関係者は、どういう気持ちで、<1F>の安全対策を不十分のまま留め置くことに納得してきたのだろう、ということです。

 事実として、<1F>は総崩れとなりましたが、<2F>は持ちこたえました。このことは、肯定的にも否定的にも、実に様々な知見を与えてくれます。詳細は別にしても、そもそもの問いとして、何故、<1F>を<2F>のようにしておかなかったの? という問いは発せずにはいられません。ちまた、「<2F>は主電源が1系統だけだが生き残ったから」とまるで運不運のような喧伝もなされていますが、実際に<2F>の安全対策ほうがずっと上等で(あるいは、<1F>の安全対策は非常識に劣等で)、<東電>関係者はこのことを十二分に知っていて、その上で、長い間、そのままにしていたのです。
 例えば、この掲示板でも話題になった非常用DGは、<1F>では建屋地階に、<2F>では建屋2階に設置されています。<2F>で2階に設置することにしたのなら、それが優れた方法であるなら、そののちでも、<1F>でも2階に移設するべきでした。あるいは、<東電>社内で大津波予想が出たときに、あるいは、政府の地震津波長期予測が出たときに、<1F>の対津波脆弱性ははっきり認識できたわけですから、そうするべきでした。重要免震棟を建設したときに、併せて、非常用DGの1機を移設することや、非常用電源車の常時配備することなど、さして難しくはなかったでしょう。何も巨大堤防の造成に数百億円だとか、極端な話ばかりをすることはないのです。識者の中には、<1F>の設備設計をして、「人災。設計ミス」(NHKスペシャル、元<東芝>技師)、「あり得ないおぞましい設計。先行していたアメリカの原発設備設計指針もまったく無視」(岩波書店『科学』)と指摘している人もいます。
 また、例えば、実録ものを読んでいると状況の描写から気付かれることもありました。広く知られていることですが、<1F>の所員たちは当初、電源喪失が何によってもたらされたのかすら、理解できないでいました。そもそも津波が到来していることに気付いていないのです。それに対し、<2F>の所員たちは津波が迫ってきている時点でその状況を把握しています。<2F>には見えるものが<1F>には見えないわけです。何なのでしょうか、これ? <2F>のように造り直す、更新する、強化する、増設する、というのは、難しい判断を要すようなことではありません。外部モニタカメラの台数を増やし、NHKの速報を視聴できるようにするだけのことです(ただし、これはそうなっていなかったのだろうという私の推測が入っています)。

 <東電>関係者は、どういう気持ちで、<1F>の安全対策を不十分のまま留め置くことに納得してきたのだろう、という問いは、そもそも有効なようで有効ではない、という考え方がもっとも危険ではありますが、あり得そうなことです。<1F>は<1F>、<2F>は<2F>、<東芝>は<東芝>、<日立>は<日立>、それでも行政法的手続きは成立している、ということであったのであれば、また、保安院も安全委員会も基準を示し、監査するのではなく、もったいぶって認印を押すだけの機関だったのであれば、「なんかおかしくねえか?」という視点を持ちうる人は、ましてや、「やり直しておこうよ」と言いうる人は、どこにもいなかったのかもしれません。
 この場合、多くのトップエリートが関わっている以上、「日本人は、制度設計にも技術経営にも長けていないし、個々の責任感も強くないし、市民による支援・監視体制なんて夢のまた夢」なので、原子力を安全に扱えるなどと頭が高い考え方はやめましょう、という結論に近づくことになろうかと思います。

 これは、核燃料サイクルが破綻し、最終処分が宙に浮いている以上、そもそも原子力発電は系として成立していないことや、廃炉や原子力災害保険を勘定に入れると、そもそも商用炉は成立しないこととは、相互に関係はありますが、別個の事項です。
 
 
》記事一覧表示

新着順:12/2709 《前のページ | 次のページ》
/2709